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JFlex 2023 出展レポート

開催概要

JFlex2023では、ひとのバイタルセンシングを読み取るウエアラブル端末や自動車のシートセンサをはじめ、折り畳みディスプレイやバッテリー、曲面に張り付けられるセンサーなど、新しいエレクトロニクスを実現する素材や技術が集結します。当社はディスプレイ・カメラ等を隠すことのできる〈ステルス印刷〉やその応用である〈チェンジング技術〉、従来金属やフィルムで制御していた〈電磁波シールド〉をスクリーン印刷で実現した例やセンサー機能を損なわず、センサーを目隠しする〈高透明黒色赤外線透過インキ〉を展示致しました。

会期
2023年2月1日 ~ 2月3日
会場
東京ビッグサイト
公式HP
https://www.convertechexpo.com/category.html#jflex

出展内容の一覧

1.非接触スイッチの加飾技術のご紹介

1.非接触スイッチとは

非接触スイッチとは、内蔵された赤外線センサーが、かざされた手を検知することで、非接触でオン・オフを実現するスイッチです。
センサー対応インキを赤外線の投光・受光口に印刷することで、 内蔵されたセンサーを意識させないデザインが可能になります。

(1)センサー対応インキを印刷したカバーガラス、(2)センサー本体(ICチップ)
(3)センサーが投光・受光する赤外線

非接触型のスィッチの仕組み

2.可能性を広げるセンサー対応インキ

センサー対応インキは、内蔵するセンサーの種類に適した透過波長や透過度の調整が可能です。
その為様々なセンサー内蔵製品に対応することができます。

 

センサー対応インキができること

  • スクリーン印刷の特色を生かした、自由なデザインのスイッチが作成できる
  • センサーを隠すようなデザインが可能(シームレス化)
  • ステルス印刷と組み合わせることで、必要な時にだけ情報を表示させることができる

 

3.センサー内蔵製品(非接触ボタン)への応用

近年、不特定多数の方が触れる場所の非接触化が進んでいます。

以下は、エレベータなどのボタンにおいて非接触選択できる印刷物です。

矢印の下に赤外線センサーが内蔵されており、指を近づけるとセンサーが反応してボタンの縁部分が青く光る仕組みになっています。

協力会社:株式会社エレバイザージャパン様東亜エレクトロニクス株式会社様

 

2.製品の軽量化に貢献する、電磁波シールド用インキのご紹介

1.電磁波シールド用インキとは

電磁波シールド用インキは、導電インキの一種であり、導電性を有する塗膜が電磁波の侵入・漏洩を遮断(シールド) するインキです。他のシールド材(金属板)と比較して、軽量薄型で高耐湿性など機能性に優れています。

以下は、PCから放射される電磁波(放射電界)を電磁波シールド用インキの印刷物で シールドした例です。 放射電界が、通常時の計測値(204 V/m)(左)から計測不能(24 V/m)(右)までにシールドされています。

 

 

2.電磁波シールド用インキの特徴

電磁波シールド用インキには4つの特徴があります。

  1. 樹脂材料との組み合わせで軽量化薄型化が可能
  2. 広範囲な材料に接着
  3. 必要部分のみをパターン印刷できる
  4. 広範囲の周波数(0.1MHz~90GHz)を1種類のインキでシールド可能

他の電磁波シールド材料とは異なり、電磁波シールド効果とスクリーン印刷のメリットを兼ね備えた製品となっています。

 

3.電磁波シールド用インキのシールド性能

電磁波シールド用インキのシールド効果は、インキの抵抗値・印刷条件により調整することが可能です。 以下は各周波領域でのシールド効果を測定した結果です。

20dB(赤線)において99%の反射率を示しています。

 

4.電磁波シールド用インキの使用方法

①スクリーン印刷:シールド機能が必要な部分の形に印刷ができる

②スプレー塗装:製品に直接吹き付けて電磁波シールド機能を付与できる

 

5.電磁波シールド用インキの種類

電磁波シールドインキはMRX-HF(プラスチック用)、GLS-HF(ガラス用)に設定してあります。

両インキともに、電磁波シールドと加飾を両立することが可能です。 なお、設定色以外での加飾の場合は、通常インキの重ね印刷で自由な表現が可能になります。

 

3.自動運転・安全運転に役立つ、センサー対応インキのご紹介

1.センサー対応インキ(赤外線透過インキ・IR透過インキ)とは

センサー対応インキは、IR透過インキ(赤外線透過インキ)とも言い、センサーの誤動作の原因になる可視光・紫外線を遮断し、赤外線のみを透過する加飾インキです。 従来赤外線透過部に使用されていたIR透過フィルムをセンサー対応インキに代替することで、 赤外線透過部への加飾が可能になります。また、印刷工程はフィルム貼付け工程と比較して工数が少なく簡便なため、コスト削減にも貢献します。

 

(A)赤外線と誤動作の原因となる可視光・紫外線
(B)センサー対応インキにより遮断(吸収・反射)された可視光・紫外線
(C)透過した赤外線

センサー対応インキの仕組み

(1)製品の筐体部(PC、PETフィルム、ガラス) (2)センサー対応インキ (3)センサーモジュール

 

2.赤外線カメラを用いたセンサー対応インキの透過性

以下は右から『赤外線カメラ付きライダーセンサー(2)』、『センサー対応インキと普通の墨インキを印刷した印刷物(1)』、赤外線カメラの映像が映る『PC』が並んでいます。

センサー対応インキと通常のスクリーンインキを上部と下部に印刷したPETシート

カメラ(2)の前に印刷物(1)を置き、赤外線カメラと反対側に手をかざすと、センサー対応インキの印刷されている側(上部)は手がはっきり映ります。

赤外線カメラの画像

今後の市場展開として、運転手の動向を確認するドライバーステータスモニター向けカメラレンズの目隠しやLiDARセンサー等高精度の画像認識が必要な部品に検討が出来ます。

 

4.センサーとステルス技術のコラボ

1.非接触スイッチとステルス印刷

センサー対応インキを使用した非接触スイッチとステルス印刷を用いると、必要な時に必要な情報を表示する製品を作成することができます。

以下は、見た目はカーボン柄であっても、手をかざすと非接触スイッチが作動し、隠していた情報が表示されます。

「シャイテック(Shy Tech)」技術のご紹介

協力会社:日清紡マイクロデバイス株式会社様

 

2.スマート・サーフェス(Smart Surface)

スマート・サーフェス(Smart Surface)とは、文字通りにはスマートな表面、つまり多機能・高性能な表面素材を意味します。必要な時に必要な情報を表示する「機能面のスマートさ」と加飾に関する「デザインのスマートさ」を両立する技術と考えます。

以下は高精彩インキと高隠蔽墨インキのもつ特性(微細印刷性と高隠蔽性)を生かし、高品質なステルス印刷と木目調を再現しました。

高精彩インキによる本物の木のようなデザイン(写真左)とステルス印刷で表示された情報(写真右)

スマート・サーフェス(Smart Surface)技術のご紹介

協力会社:コーデンシTK株式会社様エヌエスアドバンテック株式会社様

 

3.感触フィードバック用モジュール+モーションセンサー+ステルス印刷

感触フィードバック用モジュールとは、画面にあるスイッチなどを押したときにフィードバック(振動)を起こす装置です。その機能とセンサーやステルス印刷を用いて、より日常的なシーンをイメージしたデモ機をご紹介いたします。

スイッチを入れていない状態ではステルス印刷によって画面に何も映っていない状態です。左下の丸部分に手をかざすと、センサーが反応して内部にあるライトが点灯し、隠れていたイラストが表示されます。その後画面に表示されたイラストを押すと、振動が指にフィードバックされる仕組みです。

協力会社:東京パーツ工業株式会社様

 

5. バックライトで画像が変化する、ステルス印刷の応用技術

1.同一部分に異なるデザインを表示させる仕組み(チェンジング)

ステルス印刷は、光源と透過光の波長を工夫することで、同じ部位に切り替えが可能な複数のデザインを施すことが可能です。

例えば、赤色(波長:580~780nm)と青色(波長:430~490nm)に波長を揃えた光源をバックライトにして、その各光源を選択的に透過するインキ(赤色光のみを透過するインキ・青色光のみを透過するインキ・両方を透過する透明部)を組み合わせてそれぞれ画像を描きます。その結果、赤色光の照射時には赤色光の透過部による画像を、青色光の照射では青色光の透過部による画像を同一部位に表現することが可能となります。

(1)赤色光を照射したときの画像、(2)青色光を照射したときの画像

赤色光のみ透過、青色光のみ透過、両方が透過、両方が非透過の組合せのイメージ

(3)パール、(4) 原反、(5) スモークインキ、(6)遮光黒、(7)遮光黒、
(8)赤波長のみ透過するインキ、(9)青波長のみ透過するインキ、(10)赤と青の2つの光源

 

2.同一部位上での画像の切り替え

上記の仕組みを利用することで、赤色と青色の光源を使い分けて同一部位上に2つの画像を施すことが可能になります。

以下は、右と左を向いた矢印に赤色光照射時と青色光照射時で2種類のデザインを施した例です。

協力会社:株式会社ワンダーフューチャーコーポレーション様

 

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