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Smart Sensing 2021 出展レポート

開催概要

Smart Sensing 2021は、センシング技術で価値創造する新社会プラットフォームの技術展です。
当社は、センサーの性能向上とデザイン性向上、更にコスト削減にも貢献する センサー対応インキ
(IR透過インキ)と光を利用した 動的なデザインを実現するステルス印刷を中心にインキ・印刷技術をご紹介致しました。

会期
2021年10月27日 ~ 29日
会場
東京ビッグサイト
公式HP
https://www.smartsensingexpo.com/

出展内容の一覧

1. センサー性能・意匠性・コストに貢献するセンサー対応インキのご紹介

1. センサー対応インキ(赤外線透過インキ・IR透過インキ)とは

センサー対応インキは、IR透過(赤外線透過)インキとも言い、センサーの誤動作の原因となる可視光・紫外線を遮断し、赤外線のみを透過する加飾インキです。このインキをセンサー受光口に使用することで、センサーの精度向上とデザイン性向上を実現することが可能です。
また、印刷による工法は、コスト面でも優れています。

(A)赤外線と誤動作の原因となる可視光・紫外線、
(B)センサー対応インキにより遮断(吸収・反射)された可視光・紫外線、(C)透過した赤外線

センサー対応インキの仕組み

(1)製品の筐体(PC・PETフィルム・ガラス等)、(2)センサー対応インキ、(3)センサーモジュール

2. センサー対応インキによるデザイン性の向上

従来のセンサーは、受光口にIR透過フィルムを使用していました。そして、このIR透過フィルムは、色や素材に制限があるためにデザイン上の制約となっていました。しかし、そのような制約は、センサー対応インキを使用することで解消することができます。
例えば、受光口を含む筐体部分に継ぎ目のないシームレスなデザインを施す事も可能になります。

(A)従来の受光口(筐体部と受光口で不連続なデザイン)
(B)センサー対応インキを利用した受光口(継ぎ目のないシームレスなデザイン)

センサー対応インキの効果

3. センサー対応インキによるコスト削減

センサー対応インキは、IR透過フィルムを使用する場合と比較して製造工程においても優位性があります。 製造工程における優れた点とは、
工程が簡便で少なく、更に廃棄物の発生も無い点です。 そのため、大幅なコスト削減効果が期待できます。

各工法 IR透過フィルム センサー対応インキ(IR透過インキ)

工程比較概要

  • 裁断・貼り合せ等、工程が複雑
  • 廃棄物発生の可能性あり
  • 印刷・乾燥のみで工程が簡便。総工数も少ない
  • 廃棄物の発生なし

工程比較

  1. ブラックフレームの印刷
  2. 最終乾燥(30分)
  3. OCAの貼り合せ
  4. フィルムの裁断
  5. フィルムの貼り合せ
  6. 養成
  7. 完成
  1. ブラックフレームの印刷
  2. 中間乾燥(10分)
  3. IR透過インキの印刷
  4. 最終乾燥(30分)
  5. 完成

2. ステルス印刷(隠し印刷)のご紹介

1. ステルス印刷(隠し印刷)とは

ステルス印刷(隠し印刷)とは、バックライト照射時に意匠が現れる印刷表現です。 マットクリアー・透過色・墨抜きパターンを多層印刷することで実現します。 このステルス印刷により、驚きを演出する動きのあるデザインが可能となります。

(1)表: マットクリアー、(2)PC基材、(3)裏1層目: 透過色、(4)裏2層目: 墨抜きパターン

ステルス印刷(隠し印刷)の構造

(1)印刷、(2)成形、(3)バックライト照射(文字が現れる!(驚きを演出する動きのあるデザイン))

ステルス印刷(隠し印刷)の原理

2. 様々なベースデザインに対応可能なステルス印刷

ステルス印刷は、ベース色と透過色に様々な色を選択することが可能です。 ブラックアウト(黒色ベース)では、ピアノブラック(漆黒)やマットブラック等を選ぶことができます。 また、複雑な意匠の部位に施されたステルス印刷も、バックライト照射時にベースの意匠に紛れること無く 鮮やかに表現されます。

ピアノブラック(漆黒色)にステルス印刷を施した例

ステルス印刷(隠し印刷)の比較(バックライト無し)

左と右で違う色が表現されています。(バックライト照射時)

ステルス印刷(隠し印刷)の比較(バックライト照射時)

複雑な意匠にステルス印刷を施した例

ステルス印刷(隠し印刷)の比較(バックライト無し)

ベースの意匠に影響されずにステルスデザインが表現されています。(バックライト照射時)

ステルス印刷(隠し印刷)の比較(バックライト照射時)

協力会社:中沼アートスクリーン株式会社様

3. 感染症対策に有効な非接触スイッチの加飾技術のご紹介

1. 感染症対策に有効な非接触スイッチとは

非接触スイッチとは、直接部位に触れることなく、手をかざすだけでオン・オフが可能なスイッチです。このスイッチは赤外線センサーを内蔵し、そのセンサーがかざされた手を感知することで非接触のオン・オフを実現します。

この非接触スイッチ技術を支えるのが、センサー対応インキ(赤外線透過インキ・IR透過インキ)です。このセンサー対応インキを利用することで、スイッチ外装に自由なデザインを施すことが可能になります。更にこのインキは、赤外線以外の紫外線や可視光を遮断するために、スイッチの誤動作防止にも貢献します。

(1)センサー対応インキを印刷したカバーガラス、(2)センサー本体(ICチップ)
(3)センサーが投光・受光する赤外線

非接触型のスィッチの仕組み

非接触スイッチにかざされた手(写真左)。反応した非接触スイッチ(写真右)

非接触型のスィッチの事例

協力会社:コーデンシTK株式会社様、エヌエスアドバンテック株式会社様

 

2. 非接触スイッチの可能性を広げるセンサー対応インキ

センサー対応インキは、センサーの存在を隠すことも目立たせることも可能なために 非接触スイッチの応用範囲を広げる効果があります。

加飾の方向 実現したいこと センサー対応インキが支援可能なこと

見せる

感染症対策用の非接触スイッチとして目立たせたい。

  • 物理的な制限なく、自由なデザインで目立たすことが可能

隠す

センサーの存在を意識されない中で、特定の条件のみを感知したい。

  • センシング機能に合わせた条件設定(透過波長・透過度等)が可能
    (特定の距離に反応するセンサーへの対応等)
  • センサーの存在を視覚的に隠すことが可能。
    (デザイン性だけでなく、セキュリティ対策への応用も可能)

見せる+隠す

必要な時に見せ、不要な時に隠したい。

  • ステルス印刷と組み合わせることで、必要な時にスイッチを
    目立たせ、不要な時には隠すことも可能

4. センサー対応インキの自動車への応用

1. 安全・自動運転技術に欠かせない各種センサー

現在の自動車は、安全性向上のために多くのセンサーが搭載されています。 例えば、物体や人との距離を把握するミリ波レーダー、それらの動きを把握するモーションセンサー、また、それらを含む周囲の状況を立体的に把握するLiDARセンサー等です。これらは、自動運転等次世代技術にも欠かせない技術となっています。

センシング対象 センサー名 内容

物体との「距離」

ミリ波レーダー

ミリ波帯(波長1~10mm = 周波数30~300GHz)の電波を使うレーダー

物体・人の「動き」

モーションセンサー

物体・人の動き(加速度・傾き・方向等)を検出するセンサー

物体を3D把握 

LiDARセンサー 

赤外線で周囲の物体を3次元的に把握できるセンサー

2. センサー搭載とデザイン性向上を両立するセンサー対応インキ

上記の通り現在の自動車にセンサーの搭載は欠かせないことですが、自動車のデザイン性を犠牲にすることは 避けなければなりません。
センサー対応インキは、自動車の安全性向上とデザイン性向上を両立する技術となります。

加飾と電波透過を両立した樹脂一体型製品(自動車のエンブレム)の例

加飾と電波透過を両立した樹脂一体型製品(自動車のエンブレム)の例

協力会社:南部化成株式会社様

3. センサー搭載の立体型部位の加飾に力を発揮するFIM技術

上記の自動車エンブレムの加飾には、FIM(フィルムインサート成形)技術が使用されています。FIM技術とは、予め意匠印刷を行った熱可塑性樹脂フィルムを成形樹脂材料と一体成形することで成形物を加飾する工法になります。例えば、センサーの受光口やステルス印刷を施す部位が立体型の場合は、このFIM技術と組み合わせることで対応可能となります。

(1)スクリーン印刷、(2)フォーミング、(3)インジェクション

FIM(フィルムインサート成形)の仕組み

5. デザイン性・機能性を向上させるステルス印刷の応用技術のご紹介

1. 同一部位に複数のステルス印刷デザインを施す仕組み

ステルス印刷は、光源と透過光の波長を工夫することで、同じ部位に切り替えが可能な複数のデザインを施すことが可能です。

例えば、赤色(波長:580~780nm)と緑色(波長:490~580nm)に波長を揃えた光源をバックライトにして、その各光源を選択的に透過するインキ(赤色光のみを透過するインキ・緑色光のみを透過するインキ・両方を透過する透明部)を組み合わせてそれぞれ画像を描きます。その結果、赤色光の照射時には赤色光の透過部による画像を、緑色光の照射では緑色光の透過部による画像を同一部位に表現することが可能となります。

(1)赤色光を照射したときの画像、(2)緑色光を照射したときの画像

(1)赤色光を照射したときの画像、(2)緑色光を照射したときの画像

赤色光のみ透過、緑色光のみ透過、両方が透過、両方が非透過の組合せのイメージ

フ赤色光のみ透過、緑色光のみ透過、両方が透過、両方が非透過の組合せのイメージ

(3)原反、(4)透明インキ、(5)スモークインキ、(6)赤色波長のみを透過するインキ
(7)緑波長のみ透過するインキ、(8)拡散インキ、(9)赤と緑の2つの光源

2. 赤色と緑色の光源による同一部位上での画像の切り替え

上記の仕組みを利用することで、赤色と緑色の光源を使い分けて同一部位上に2つの画像を 施すことが可能になります。
以下は、自動車の後部をイメージした大型成形物に赤色光照射時と緑色光照射時で二種類の デザインを施した例です。

全面に施された美しい漆黒色(バックライトの照射無し)

全面に施された美しい漆黒色(バックライトの照射無し)

赤色の幾何学模様と「STOP」の文字(赤色光の照射時)

赤色の幾何学模様と「STOP」の文字(赤色光の照射時)

緑色の植物のデザインと「MOVE」の文字(緑色光の照射時)

緑色の植物のデザインと「MOVE」の文字(緑色光の照射時)

隠されていた2つのデザイン(赤色光と緑色光の2光の照射時)

隠されていた2つのデザイン(赤色光と緑色光の2光の照射時)

協力会社:株式会社浅野研究所様

 

6. 電磁波の侵入・漏洩を遮断する電磁波シールド用インキのご紹介

1. 電磁波シールド用インキとは

電磁波シールド用インキは、導電インキの一種であり、導電性を有する塗膜が電磁波の侵入・漏洩を遮断(シールド)するインキです。このインキにより、印刷という簡便な工程で、電磁波の侵入によるセンサーへの干渉やセンサー搭載機器からの電磁波の漏洩を防ぐことができます。

以下は、パソコン画面から放射される電磁波(この例では、放射電界を計測)を電磁波シールド用インキの印刷物でシールドした例になります。放射電界が、通常時の計測値(128 (V/m))(左)から計測不能(0 V/m)(右)までにシールドされています。

電磁波シールド用インキのシールド効果

第13回オートモーティブ ワールドより

 

2. 印刷方式のメリット

印刷による電磁波のシールドは、金属箔等を使用する他の工法と比較して、耐性・軽量薄型化・工程削減に 優れた工法となります。

優れた特徴 詳細

高耐湿性・軽量薄型

  • 金属箔・金属の蒸着等と比較して湿度に強く、経時での性能劣化も少ない
  • 他の工法と比較して、同等の性能を軽量・薄型で実現

安価で自由度の高い
スクリーン印刷

  • 金属箔の貼付け・導電材塗装等と比較し、印刷という簡便で安価な工法
  • 他工法では困難な、抵抗値・導電性付与の部位・パターン等の調整が可能

加飾・その他の機能性との両立

  • 加飾インキへの導電性付与や重ね印刷等により、導電と加飾を両立
  • センサー対応(IR透過)機能等、他インキの機能と導電の両立も可能

7.展示会動画はこちら!

ご紹介したインキ・工法・試作品について
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